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喘息

2.中医学からみた喘息



喘息発作の中医学における概

喘息発作のことを中医学では「ロ孝(こう)」といい、呼吸困難、呼吸促迫のことを「喘(ぜん)」といい、必ず「ロ孝」には「喘」を伴うので「ロ孝喘(こうぜん)とも呼ばれる。歴史的に、春秋戦国時代から前漢の時代に編纂された《素問》には「喘鳴」、後漢末期の《金匱要略》には、「喉中水鶏声」、元以降の時代になると、「ロ孝」、「ロ孝喘」、「ロ孝ロ孔」、「ロ孔喘」などと呼ばれるようになる。

中医学では、喘息を「ロ孝証(こうしょう)」という。また、「喘証(ぜんしょう)」は喘息ではない呼吸困難、呼吸促迫のことをさす。




病因と病理(中医学での病気の原因と病理機序)

喘息は、一般的に発作性の疾患であり、その病気の原因の主なものは、外邪の侵入、飮食の不節制、体質(先天、後天不足)の3つに分類できる。

(1)外邪の侵入
外から寒さ、暑さなどの刺激をうけると、肺の機能が失調して津液が水液や痰となったり、また、花粉や煙塵などの吸入によって、肺気の昇降機能が影響をうけ、津液が凝集して痰となる。*津液は体内の正常な水分のこと。

(2)飮食の不節制
食べ過ぎ、飲み過ぎ、冷たい物や生ものの摂りすぎによって胃腸の機能が失調すると、脾の運化作用が失調して痰濁ができてしまう。

(3)体質
生まれながらの体質、生まれ落ちてからの生活あるいは病後の衰弱などによって、肺、脾、腎の三臓の機能が低下した状態。肺が虚せば、身体表面の粘膜や皮膚の機能が低下し、脾が虚せば痰濁が出来て、腎虚になれば、人体の根本が虚弱になって喘息にかかりやすくなる。




発作時(症状があるとき)の症状、体質別の鑑別と漢方薬

(1)寒痰阻肺
呼吸が促迫して喘鳴を伴う呼吸困難、喘息発作。胸がつかえて苦しい、白くやや粘る痰あるいは多量のうすい泡沫状の痰が出る。顔色暗く青い、口が渇かない、あるいは暖かいもの熱のみものをほしがる。寒冷の外部刺激によって喘息発作が誘発されたり、さむけ、発熱、汗が出ない、頭痛、ふしぶしの痛みなどのかぜのような症状があることがある。


適合する漢方薬

三拗湯(さんようとう)
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
射干麻黄湯(やかんまおうとう)
華蓋散(かがいさん)
                 など

あるていど治療した後に、まだ完全に喘息発作が無い状態に至っていないとき
神秘湯(しんぴとう)
蘇子降気湯(そしこうきとう)
参蘇温肺湯(じんそうんぱいとう)
参蘇飲(じんそいん) 
                など


(2)熱痰阻肺
呼吸が促迫して喘鳴を伴う呼吸困難、喘息発作。呼吸があらい。黄色で切れにくい粘る痰、焦燥感、顔面紅潮、汗が出る、口が渇いてつめたいものを欲しがる、温暖によって喘息発作が誘発されたり、発熱、頭痛などのかぜのような症状があることがある。

適合する漢方薬
越婢加半夏湯(えっぴかはんげとう)
五虎二陳湯(ごこにちんとう)
瀉白散(しゃはくさん)
                 など

あるていど治療した後に、まだ完全に喘息発作が無い状態に至っていないとき
定喘湯(ていぜんとう)
柴朴湯(さいぼくとう)
費氏我梨湯(ひしがりとう) 
             など


(3)陽虚痰阻
呼吸が促迫して喘鳴を伴う呼吸困難、喘息発作。息切れして呼吸が続かない、動くと憎悪する。顔色が白い、寒がる、四肢の冷え汗が出る。

適合する漢方薬
八味地黄丸合三子養親湯(はちみじおうがんごうさんしようしんとう)
苓甘姜味辛夏仁湯辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)
喘四君子湯(ぜんしくんしとう)
            など
*寒痰阻肺と陽虚痰阻の違い 
寒痰阻肺では、気虚(ききょ:エネルギー不足)の症状はみられない。しかし、陽虚痰阻では、息切れ、倦怠無力感、汗がでる、動くと呼吸困難がひどくなるなど気虚の症状を伴う。


(4)陰虚痰阻
呼吸が促迫して喘鳴を伴う呼吸困難、喘息発作。少量の粘る痰、痩せてきた、喉の乾燥感、寝汗がでる。

適合する漢方薬
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
清肺湯(せいはいとう)
金水六君煎(きんすいりっくんせん)
         など
*熱痰阻肺と陰虚痰阻の違い
いずれも黄色で粘る痰を呈するが、熱痰阻肺では陰血不足(いんけつふそく;体液や栄養物質の不足)の症状はみられないのに対して、陰虚痰阻では、痩せてくる、喉の乾燥、寝汗、頬部が赤いなどの症状がある。




緩解期の治療と養生

喘息発作は、非常に体力を消耗し、正気(せいき)が虚しているので、緩解期には扶正(正気を補う)すべきである。肺、脾、腎の三臓の機能が低下した状態を改善することが大切である。

肺を補う代表的な漢方薬   衛益顆粒(玉屏風散) など

脾を補う代表的な漢方薬   補中益気湯 香砂六君子湯など

腎を補う代表的な漢方薬   双料参茸丸、麦味地黄丸、八味地黄丸など

また、肺の機能を正常にさせるために宣肺の効果のあるものを上記の方剤に加える。場合によっては、血流障害が発生していたり、ストレスのために肝気の流れが悪くなっている場合もあるので、活血化淤や、疏肝薬も併用すべきである。

このほか、飮食、起居など日常生活も注意し、発作を減少させて根治させる。

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