店主の四方山話                    TOPへ戻る




  

第76話 不眠症の話


漢方では不眠症にも沢山の漢方薬があります。そして、症状や体質に合わせて使い分けます。睡眠薬のようにただ眠らせる、眠くなるお薬ではなく、ほとんどの漢方薬漢方薬が朝、昼、夜1日3回服用して不眠体質を改善するものですので、習慣性や依存性などの副作用もありません。


不眠がなぜ起きるのかは、中国漢方では、多くは心に熱を持つか、心(神)の機能を邪魔するものがあるか、心の血が不足(心の栄養状態が不足)して発生すると考えられています。(は、西洋医学でいう心臓のみならず大脳の働きの一部も含まれます。思考能力、意識なども心の働きによるものです。また、心は小腸と表裏の関係にあり、舌とも関係が深いとされています。中国漢方でいう神:しんとは意識や考えたり思ったりする働きのこととご理解ください)


1.心陰虚(しんいんきょ)

なかなか寝付けない、動悸、焦燥感、多夢、健忘、潮熱、てのひらあしのうらがほてる、口、喉の乾燥感、どで、もともと体内に必要な潤いが不足している方が汗をかきすぎるなどして心の潤いが不足して発生します。痩せている方や高齢の方に多いです。柏子養心丸天王補心丸などが適合します。


2.心腎不交(しんじんふこう)

寝付きが悪い、ひどいと夜通しねむれない。あたまのふらつき、耳鳴り、潮熱、寝汗、両側のてのひら足の裏および胸中に熱感がある、健忘、多夢、腰や膝がだるく力が入らないなど、上記の心陰虚の場合より、不眠以外の老化による症状がひどく、熱感も強い。黄連阿膠湯などが適合します。


3.心脾両虚(しんぴりょうきょ)

眠りが浅い、多夢、よく目が覚める、顔色に艶がない、倦怠感、息切れ、ものを言うのがおっくう、動悸、健忘、食欲がなく食事量が少ないなど、不眠以外に血色不良、疲労感、胃腸機能の低下による症状がみられます。帰脾湯加味帰脾湯などが適合します。


4.胆気虚(たんききょ)

恐ろしくてひとりで眠れない、驚きやすい、びくびくする、頭のふらつき、めまい感、よくため息をつく、などの精神症状が強いです。中国では肝胆両益湯無憂湯などが使われますが、桂枝加竜骨牡蛎湯などを加減すれば応用できます。


5.肝胆鬱熱(かんたんうつねつ)

眠りが浅い、多夢、よく目が覚める、イライラ、怒りっぽい、胸脇部がはる、ため息が多い、口苦い、目の充血、尿が濃く少ないなどの症状があります。竜胆瀉肝湯柴胡加竜骨牡蛎湯が適合します。

6.痰熱擾心(たんねつじょうしん)

眠りが浅い、多夢、よく目が覚める、焦燥感、不安感、胸苦しい、多痰、悪心、口苦い、口粘るなどの症状があります。黄連温胆湯加味温胆湯が適合します。

7.心火(しんか)

不眠、多夢、胸中の熱感、動悸、顔面紅潮、口苦い、口内炎、尿が濃く少ない、排尿痛などの症状があります。中国では導赤散と朱砂安神丸などが使われますが、三黄瀉心湯清心蓮子飲などを加減すれば応用できます

8.余熱擾隔(よねつじょうかく)

熱病の後期などで、余熱が余っている場合でじっとしていられない、寝付きがわるい、焦燥感、胸が詰まって苦しい、飢餓感、胸焼けがする等の症状がある場合です。竹葉石膏湯梔子豆支湯などが適合します。


不眠症は、このように原因や体質が複雑にからみあっていますので、適切な漢方薬の選定は専門家にお任せください。詳しくはこちらでご相談ください。直接メールでもご相談承ります。kawaguchikampo@nify.com