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  第44話 しゃっくりと柿の蔕、漢方の話




  病院の紹介で、しゃっくりに柿の蔕が効くから漢方薬屋さんで買ってきてのみなさいと言われた
という方が時々いらっしゃいます。通常のしゃっくりは、放置しておいても自然に治りますが、繰り返
したりひどいしゃっくりが長時間続く場合は、日常の生活にも困りますのできちんと治療した方が良
いです。

 西洋医学的には、脳、心臓、気管、食道、胃などの様々な病気が原因でしゃっくりが出るとされて
いて、制吐剤や抗けいれん剤などが効果があります。しかし、慢性疾患で他の薬物を使用していた
りする場合、安全性の面からも良い方法ではない場合が多いのです。ですから、お医者さんも柿の
蔕を勧めることが多いのです。柿の蔕だけを使用しても一定の効果がありますが、体質や症状を考
慮しているわけではありませんから、根治は無理なことが多いですし、しゃっくり以外の症状が軽減
されることも期待できません。


 体質や症状に合わせて選択する漢方薬は効き目も体にも良い

 中国漢方では、しゃっくりのことをロ厄逆(やくぎゃく)といって、西洋医学的には横隔膜のけいれん
なのですが、胃気が上逆したために発生すると考えています。胃は本来食べ物を納め、消化したあ
と腸に下ろすように働きますので、胃の気は下降しているのが正常なのですが、胃の気が反対に上
逆すると、嘔吐やしゃっくりなどの症状が出る
のです。そして、体全体の状態や胃の状態の違いによ
って漢方薬を使い分けます。柿の蔕だけ使用するよりはるかに効果があり、しゃっくり以外の症状も
軽減します。


  胃寒
重く緩慢で力のあるしゃっくり。胃部に不快感を訴え、暖めると軽減し冷えると憎悪する。口が渇か
ない。こんな時は胃を暖める漢方薬を使います。柿蒂湯(していとう)丁香散(ちょうこうさん)
香柿蒂湯(ちょうこうしていとう)
などを使用します。しゃっくりが止まるだけでなく、胃が暖まりますの
で、他の症状も軽減するのです。尚、漢方に詳しくない先生が、柿蒂湯は体質に関係なく使えると言
っていますが、厳密に言えば配合される丁香や生姜は辛くて刺激があり暖める働きがあり、胃に熱
があるような症状、たとえば口臭がする、口が渇いて冷たい物がのみたいような方には熱がさらに
強くなってしまうので不適当です。


  胃火(胃実熱)
大きくはっきりしたしゃっくりで、口臭、強い口の渇き、尿量が少なく色が濃いような場合、竹葉石膏
湯(ちくようせっこうとう)
などが適合します。この場合には反対に胃が冷えているような方には不適
当です。


  胃陽虚
持続性の微弱なしゃっくり。息切れや手足の冷え、顔色が白い、食欲がない、全身がだるい、尿が
近いような場合は、冷えていますが、新陳代謝も低下し暖める力や全身の機能低下がみられます。
旋覆花代赭石湯(せんぷくかたいしゃせきとう)
などが適合します。


  胃陰虚
促迫した間欠的なしゃっくり、口の中の乾燥、強い口の渇き、舌に苔がほとんどなく亀裂などがあり、
便秘になっていることも多い。こんな場合は、胃の潤いが不足し胃の機能が低下していますので、
潤いを与える益胃湯加減(えきいとうかげん)などが適合します。






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