店主の四方山話                    TOPへ戻る




  

 第177話 症状と体質に合わせる重要性




漢方薬は、西洋医学の病名だけで決まらない

先月、テレビや新聞で、インフルエンザに麻黄湯が有効だという報道があったために、麻黄湯を指名で買いに来られた方が多かったのですが、それらお客様が勘違いしているのは、インフルエンザなら麻黄湯が良いということだけで、実際には症状や体質の違いでインフルエンザでも様々な漢方薬が適合する可能性があることをご存知無かったこと。さらに、麻黄湯の効果的なのみ方をも知らなかったこと。

実際、インフルエンザと診断された方で、麻黄湯以外の処方で劇的に良くなっている方が何人もいらっしゃいました。一例を挙げましょう。



インフルエンザにかっ香正気散で効果があった例


18歳 高校生 女性
受験間近で、発熱(37℃)、食欲低下、全身がだるく重い 内科のお医者さんにかかりインフルエンザと診断された。しかし、処方された薬(麻黄湯も処方されていた)をのんでもあまり良くならず、むしろ胃腸の状態は悪化、食欲は戻らず、悪心、軟便、下痢。寒気がある。顔色は青白い。口の渇きはない。じっとしていれば汗は出ないが少し動くと汗が出やすい。

この方にお出しした漢方薬は、かっ香正気散という本来は夏カゼや胃腸カゼに使うことが多いものです。
3日のんだだけで食欲が戻り、悪心、軟便、下痢が改善され、平熱に戻りました。その結果、受験当日には東京まで行き、入試を受けることができたそうで、つい先日、合格発表があって、めでたく希望の大学に合格したそうです。

なぜ、病院で麻黄湯が処方されたのかは、インフルエンザという病名診断がよりどころでしょう。また、漢方薬の効能効果でインフルエンザの承認が出ているのは麻黄湯ぐらいしかないということもあると思います。でも、現実には、インフルエンザには、麻黄湯だけでなく、葛根湯や銀翹散、かっ香正気散なども良く使いますし、こじれた場合には、他の処方を応用する場面も多いです。

繰り返しますが、症状や体質(証)に合わせて正しく使わないといけないのです。この方のお母さんは、看護師です。専門家ですから、麻黄湯の正しいのみ方というのを印刷して差し上げましたら、びっくりされて、このような内容はうちの病院では誰も知らないし指導もしていない、というのです。

多くの病院が、西洋医学の診断の元にほとんど体質などを考えずに一律に西洋薬と同じように、漢方薬を処方していますし、報道機関やテレビ番組も、○○に漢方薬の×××湯が効いた!みたいなことを放映します。ある意味、漢方薬の啓蒙にはなっても、漢方薬の正しい使い方を伝えていないので、こちらとしてはとてもフラストレーションが溜まります。



現在の漢方医療システムの問題点

今の制度だと、病院や開業医さんは、保険診療の中では厚生労働省の認可した効能効果の元に処方せざるを得ません。また、薬として一部の漢方薬(誤解しないで欲しいのは保険で使える漢方薬はごく一部です)は保険で扱えても、東洋医学自体を現在の医療制度で認めていない。だから、東洋医学的な証をつかむための問診や診断をしても、保険点数が付くわけでもないので、やらないしできないのです。結果的に、正しく漢方薬が使用されていないで、一律に、インフルエンザなら麻黄湯、認知症の予防なら抑肝散、のように半ばお約束のようになってしまっていて、体質や症状にあわせていない弊害が出ています。認知症に使う漢方薬は沢山あって、それも体質や症状が重要なのですが、それはまた今度書きます。



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