店主の四方山話                    TOPへ戻る




  

 第161話 新型インフルエンザに漢方は効くか?



メキシコで発生した、豚インフルエンザが日本にも上陸して関西を中心に蔓延し始めています。このインフルエンザウイルスに対して人類は全く抗体を持たないので、誰でも簡単に罹患してしまいます。このウイルスは弱毒性であることと、タミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬に効果があるので、これらの薬の備蓄があれば、当面はパニックになることはないでしょう。

ところで、この新型インフルエンザに漢方は効果があるでしょうか?ある週刊誌に、「新型インフルエンザは漢方で治る説が浮上」と掲載されたのを見ました。私も、漢方でも適切な処方を使用すれば効果があると思います。

大正7年、全世界を震撼させたスペイン風邪では日本でも多数の死者がでましたが、漢方家 森道伯先生は、このとき病型を分けて胃腸型には香蘇散加茯苓、白朮、半夏を、肺炎型には小青竜湯加杏仁、石膏を、脳症を発するものには升麻葛根湯加白し、川きゅう、細辛などで対処し、治らないものがなかったと文献に記録が残っています。(漢方一貫堂医学 矢数格著 参照)



インフルエンザの漢方療法

インフルエンザと一般のカゼの治療法は、漢方では何ら変わりません。インフルエンザウイルスが豚であろうと香港A型であろうとソ連型であろうと、治療法は発現症状や体質の違い、季節の違いなどで変わってきます。 つまり漢方では病原ウイルスの違いで治療法が異なるのではなく、患者さんの症状の表れ方、体質、病状によって治療法が変わります。



週刊誌で紹介されたのは風寒型のインフルエンザの治療法

週刊誌には、麻黄湯とか麻黄湯と桂枝湯を半分ずつ混ぜた桂麻各半湯が紹介されていましたが、これらの漢方薬で今回の豚インフルエンザが良くなるのには、一定の条件が必要です。

麻黄湯の場合、ひきはじめで寒気が強く汗が出ていないことが絶対条件です。桂麻各半湯の場合にはやや汗が出やすい傾向があるものですが、この両者に共通しているのは、冬に多い寒気が強いタイプの流感やカゼである場合が多いのです。(春や夏に全く無いわけではないが、非常に少ないです。)



インフルエンザには、風寒型、風熱型、湿温型など様々なタイプがある

口が渇いて冷たいものが欲しい、就寝時、ふとんをはぎたいような状態で自ら汗を出して高熱が出ている場合、麻黄湯は絶対に使ってはいけません。インフルエンザの場合、むしろこのような状態になっている場合のほうが多いのです。こういう場合には、ひきはじめなら銀翹散加板藍根、大青葉などを使います。少し後になったなら白虎湯の加減が適合する場合もあります。春先から初夏にかけてはこのタイプの方が圧倒的に多いのです。

実際のインフルエンザの治療において麻黄湯と銀翹散のどちらのほうが適合するのが多いのかというと銀翹散の方が多い。 ではなぜ、銀翹散が週刊誌で紹介されないのかというと、保険が利かない病院では通常処方しない漢方薬だからだと思います。



暖かい気候では風熱型、湿温型が多い

今回の豚インフルエンザは、発祥地が暑い気候のメキシコで、日本でも5月という暖かい季節にも蔓延している、下痢などの症状もあるということを考えると、麻黄湯などの【風寒型】ではなく銀翹散などの【風熱型】あるいはそれに湿気がからんだ【湿温型】の甘露消毒丹のような漢方薬の方が適合する可能性が高いのではないかと予想しています。もちろん、これは私の予想であって実際に患者さんの症状や体質をみてみないと何ともいえません。 もちろん、同じ病型であっても、ひきはじめとこじれた時では適合する漢方薬は違いますし、体質について充分に配慮しなければいけません。

銀翹散、板藍根、甘露消毒丹の構成生薬などは備蓄しました。一番怖いのは、タミフルやリレンザを使いすぎたために、これらの薬が効かない耐性ウイルスが出現し、しかもそれが強毒性を持って致死率が高くなったときです。そのときには、漢方しか選択肢がない状態になるかも・・?



予防にはマスクだけでなく板藍根のお茶も

板藍根は、抗ウイルス作用があり、しかも西洋薬の抗ウイルス薬と違って、作用は穏やかなものの、インフルエンザ、水疱瘡、ヘルペス、C型肝炎など様々なウイルスに対して抗ウイルス作用があります。手軽にのめるようなものが健康食品として販売されています。



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