店主の四方山話                    TOPへ戻る




  

 第137話 漢方医学と西洋医学の視点の違いの話



先週は、弁証論治(べんしょうろんち)という難しい話を書きました。今週は、具体的に漢方医学と西洋医学の視点の違いについて書いてみます。


昨年の11月からアトピーで漢方薬をのみはじめた小学生のお子さんは、アトピーで全身の皮膚が乾燥し、鼻炎まであり、ティッシュペーパーを沢山学校へ持っていかなければいけないほどでした。西洋医学の治療であれば、アトピー性皮膚炎は皮膚科、鼻炎は耳鼻科に別々に受診するのが普通です。実際に、皮膚科と耳鼻科に受診して、かゆみ止めの軟膏をぬったり、鼻水を止める錠剤をのめばそのときだけは症状がかるくなりますが、中止するとまたすぐに元に戻ってしまっていました。


漢方でどのように対処したのかといいますと、このお子さんは体格もよく元気なのですが、お体の必要な水が偏在していました。わかりやすくいいますと、皮膚はもっと水分が多くなくてはいけないのに不足して乾燥している、鼻の粘膜には水が多すぎる。このアンバランスを是正すれば、どちらも同時に良くすることができます。ですから、このお子さんには、体内の水分が体表部分にもっと向かっていき、皮膚を潤してくれるような働きのある漢方薬を中心にお奨めしました。のみはじめて2週間で皮膚のかさつきは軽減し、痒みも軽くなりました。今まで体を動かしても汗をほとんどかかなかったのが、少し汗が出やすくなり、鼻水が減って学校へ持っていったティッシュペーパーが減らなくなりました。これは、今まで鼻水として出ていた水分が皮膚のほうに行くようになり、汗も出やすくなって、鼻水になる水分が減ったからなのです。


このお子さんは、もともと食欲が旺盛で胃腸のバランスも崩れ、胃腸が働きすぎてオーバーヒートしたような状態になっていました。ですから、体内の水分のアンバランスを是正するだけでなく、働きすぎの胃腸の働きを正常化するような働きを持った漢方薬も同時に服用していただいています。これは、現代医学でいう、腸管免疫過剰の状態を正常化するのに役立つはずで、食養生も含めて総合的な体質改善も目指しています。


このように、漢方医学の考え方は素朴で単純ですが、分業しすぎてしまっている現代の西洋医学の視点にはないものの見方で対処していきます。もし、このような漢方医学での見方、考え方なしに、単純に、西洋薬の代用として、痒み止めの漢方薬、鼻水を止めるための漢方薬をおのみになるのなら、それは薬は漢方薬だけれども、決して漢方医学的な使用法ではないということが言えると思います。



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