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    免疫と漢方 2  


2.免疫の生理 (中医学[中国漢方]の立場から)

 中医学では、身体を構成し生命活動を維持するのに必要な物質と人体の抗病能力を正気と
呼んでいます。また、この正気のバランスを乱し、病気にしてしまうのを邪気と呼びます。この
ため、病気になる原因には、邪気が強すぎる場合と、正気が弱すぎる場合の2つのケースが
考えられます。

 ですから、中医学で病気を治療するには、まずその病気の原因が
★正気(せいき)の不足(抵抗力の不足)にあるのか
★邪気(じゃき:病原菌など)が強すぎて引き起こされたのか判断する必要があります。
ここでは、正気(せいき)の不足(抵抗力の不足)について述べてみます。



  衛気学説

 正気(せいき)の中でも、病気から身体を守る働きのある気を「衛気(えき)」と言います。衛気
はいくつかの段階を経て熟成され、邪気と戦い、私たちを病気にならないようにしたり、病気を
治すことが出来るようになります。


 ☆衛気の根源は腎にある

 腎には精と呼ばれる生命活動の根源となる物質が蓄えられています。この精は両親からう
け継いだもので、成長、発育、生殖、老化などに関与しています。この精が基礎となって原始
的な衛気が作られます。ですから、生まれつき病弱であったり、過労や高齢のため体力が低
下すると、衛気の材料である腎精の不足が原因で衛気を作ることが出来なくなります。中医
学でいう腎には、西洋医学での腎臓、副腎のほか、骨、骨髄、胸腺、脳下垂体も含まれてお
り、現代医学ではこれらは免疫細胞の生成や調節と密接な関係があるとされています。
 
 足腰がだるい、骨が弱い、精力減退、排尿困難などが見られる場合は、
腎を強化する補腎
薬と言われる漢方薬、例えば、
山薬、附子、鹿茸、山茱萸などで、腎精を補う必要があります。


☆衛気は脾(胃腸)から栄養を受ける

 現代西洋医学でも脾臓は免疫と密接な関係があると考えられています。中医学でいう脾は
脾臓のほかに胃腸の働きも含まれています。腎で生まれた原始的な衛気は脾(胃腸)から栄
養を受け取ることによって、強い衛気になることが出来ます。
 
 食欲不振、食後お腹がはる、食後眠くなる、手足に力が入らないという方は脾の働きが低
下しています。また、食事を充分に摂る事が出来ないと病気によって破壊された組織をなか
なか修復することが出来ないので、病気や傷が治りにくくなります。中医学でいう「気」にはエ
ネルギー、機能という意味があり、脾の機能が低下した状態を脾気虚(ひききょ)と言います。
補気健脾薬といわれる漢方薬、例えば人参、白朮などで、脾の気を補う必要があります。


☆衛気は肺の働きで全身に運ばれる

 中医学でいう肺は、宣発粛降(せんぱつしゅくこう)と言って、気を全身に運ぶ働きがありま
す。また、皮膚や鼻と密接な関係があり、衛気をコントロールする指揮官の役目をになってい
ます。この働きが低下すると、汗をかきやすい、カゼをひきやすい、息切れ、肌や粘膜が弱い
などの症状が出ます。逆に言えばこれらの症状がある場合は、肺の機能が低下しています。
肺気を補う漢方薬、例えば、黄耆などを必要とします。

 多くの外来の邪気は、皮膚や粘膜から侵入しますので、肺の働きは重要です。


☆血液は栄養や免疫物質を全身に運ぶ

 血液には豊富な栄養を全身に運ぶほか、老廃物を運び去り、身体の中をきれいにする働き
があります。もし、血液が不足したり、流れが滞ると病気にかかりやすくなったり、病気が治り
にくくなったりします。

 顔色が悪い、動悸しやすい、爪や唇の色が薄くもろい、めまいたちくらみしやすい、眠りが
浅く夢が多い、目が疲れやすい、女性の場合、生理の量が少なく色がうすい、などといった
症状がある方は血虚(けっきょ)といって中医学的に血が少ない状態ですから、
血を補い血
の栄養状態を良くする補血薬、例えば
当帰、芍薬、枸杞子、竜眼肉、地黄などの漢方薬が
必要です
。また、しこりがある、痛みがおきやすく刺すような固定痛である、しびれやすい、
顔色や唇の色がどす黒い、シミが出来やすい、生理痛があり塊が下りる、といった症状があ
る方は、淤血(おけつ)と言って血液が汚れて流れが悪い状態です。
血液をサラサラにし流
れを良くする活血化淤薬といわれる漢方薬、例えば、
丹参、田七、紅花、桃仁などが必要に
なります。


☆肝は免疫を調整する

 中医学でいう肝には、全身の臓腑、器管の働きをスムーズにする疏泄と呼ばれる働きがあ
り(西洋医学でいう自律神経の一部に相当します)、これが失調すると免疫力の低下、あるい
は異常な免疫亢進などの現象が現れやすくなります。また、疏泄の働きはストレスによって
変調をきたしやすいです。

 ストレスなどによってゆううつ感、イライラしやすい、ため息がでる、胸脇部がはる、胸苦しい
などの症状がある方は、肝気鬱結(かんきうっけつ)と言って、肝の疏泄の働きが悪くなって
いる状態ですから、
疏肝薬という肝の疏泄の働きを良くする漢方薬、例えば、柴胡、枳実、
青皮、薄荷
などが必要になります。



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