甲状腺機能低下症の症例1    TOPへ戻る

                                              漢方症例集へ戻る

甲状腺機能低下症の完治症例

Mさん  59歳  身長148cm  体重48Kg   平成16年3月15日来局

昨年病院で検査をしたところ、甲状腺機能低下症と診断され、1年近く通院治療を受けている。それと同時に更年期を過ぎたころから疲れやすくなり、むくみやすい。のぼせやすく、動悸しやすい。食欲普通、便秘気味。不眠症の傾向があり、眠りが浅く、夜間目が覚めることがある。血圧正常。

 加味帰脾湯 + 天王補心丸 + 血府逐於丸 14日分
この組み合わせで、不眠、のぼせ、動悸が改善され、少し疲れやすい感じが減った。むくみやすい。

 3月28日
 加味帰脾湯 + 五苓散 + 血府逐於丸 14日分 
むくみやすい感じも減ってきている。6月まで同じ処方

 6月14日
 暑い日には体のだるさ、頭痛が発生、むくみも酷くなる傾向がある。
 加味帰脾湯 + 五苓散 + 冠元顆粒 + 杞菊地黄丸 +西洋人参
この処方になってから体調が非常に調子よく、9月まで継続。9月に病院で検査をうけたところ、甲状腺機能は正常になっていた。尚、3月15日以降、西洋薬は全く服用していない。よく眠れるし、頭痛も発生しない。むくむこともほとんどない。9月になってから家族といっしょに近くの山に登ったが、全く疲れやだるさがなく、体調が悪化することが無かった。以前では考えられなかったことで、家族の方々が驚かれている。

 9月16日
 加味帰脾湯 + 冠元顆粒 +枸杞子 +菊花 +西洋人参 
体調が良くなっているので、処方内容を簡略化する。以後3ヶ月続ける。12月に再度検査したが、甲状腺機能はやはり正常。かかりつけの医師に、あなたのような状態でいったん機能低下を起こした甲状腺の機能が正常になることは極めてまれなので、あなたは運がよかった、と言われた。その後も平成18年1月まで同処方を続ける。服用を中止して1年近く経った平成18年12月の検査でも甲状腺機能は正常。体調は良い。


考察:甲状腺機能低下症は、多くの場合、気虚(エネルギー不足)の状態になっている場合が多く、さらに腎虚、於血などの要因がからみあっている場合がほとんどである。この症例もそういったことに配慮しつつ、体質や症状に合わせ適切に処方を組んだ。西洋医学の治療では甲状腺機能低下症は永続的なものなので、一生甲状腺ホルモンを補充しなければいけないのが常識であるが、様々な不定愁訴の改善と同時に、甲状腺機能が正常になった症例である。経験上、特に不定愁訴を改善する効果は、単に甲状腺ホルモンの補充だけの治療より漢方の方が効果が高いように思う。