不妊症の症例 4

西洋医学の不妊治療をやってうまくいかなかった方の漢方での成功症例

Dさん 38歳       身長161cm   体重49Kg   平成11年1月14日来局

結婚して丸8年になるが一度も妊娠しない。
生理はやや遅れ気味(30〜34日)に来潮する。生理痛がひどく4日目から6日目く
らいが特にひどい。基礎体温は二層になりほぼ正常だが、高温期が約7日しかなく
短い。

大人になってもしもやけが足に出来る。寒冷性蕁麻疹が出来る。冷え性。
皮膚がかさつき、爪が弱い。腰の右側が痛む。食欲正常、便秘ぎみ。
舌は中央部に亀裂があり、やや力なく大きい。やや神経質でおどおどしたところが
ある。

今までの経過
数年前から産婦人科で不妊治療をやり、排卵誘発剤の使用に始まって、人工授
精まで受けたが上手くいかず体外受精を勧められたが、お金がかかる上に確率
が高くないのでやらないことにし、赤ちゃんを産むのを半ば諦めていた。
3ヶ月前から、近くの薬局で婦宝当帰膠を勧められてのんでいた。友人の紹介で
自宅から50Km離れた川口漢方薬局に来局。

Dさんは、陰血及び腎精が不足しているし、陽気不足もある。肝脾の調和がとれて
いない。最初に使用したのは、
逍遥散温経湯で、婦宝当帰膠ビタエックスも併用
した。
婦宝当帰膠は生理の後半から排卵の数日前までは多めに、ビタエックスは、
排卵の数日前から基礎体温が完全に高温になるまでの間だけ多めに服用してもら
った。ご本人は、沢山の漢方薬なのでのむのが大変だったというが、1ヶ月も経たな
いうちに、しもやけや寒冷性蕁麻疹が出なくなり冷える感じが無くなった。3ヶ月は
この処方の組み合わせで継続して、基礎体温の状態がかなりよくなり生理痛が軽く
なった。

4月に入って雨が多くなった頃から、腰と膝の痛みがひどくなってきた。膝はややむ
くんで足に力が入らないという。
逍遥散温経湯牛車腎気丸当帰四逆加呉茱
萸生姜湯
に変え、6月に入って意苡仁湯牛車腎気丸にして、7月半ばには腰と膝
の痛みはほぼ消失した。
婦宝当帰膠ビタエックスはそのまま継続していて、イカリ
ソウ
をお茶にしてご夫婦で服用してもらった。

7月後半からは、
逍遥散婦宝当帰膠、ビタエックスを日常服用していただき、排卵
前3日間のみ
当帰四逆加呉茱萸生姜湯開気丸、生理前7日間だけ血腑逐於丸
併用してもらった。ほぼこの組み合わせで半年間周期療法をやり、平成12年1月に
なって生理が来ないので産婦人科を受診したところ、妊娠5〜6週といわれた。

だが、40歳近くになっての初めての妊娠だし、体質が腎精不足であるので東洋医
学的にも流早産しやすいはずだから喜ぶのはまだ早いと言ったら、Dさんは、産婦
人科のお医者さんにも同じ事を言われ、大きな総合病院の産婦人科を紹介され、
そちらに通院したほうが良いと言われた、とおっしゃった。

悪阻がひどかった時はその軽減のために
香砂六君子湯を、それ以外の時には流早
産防止として、
婦宝当帰膠ビタエックスを服用してもらった。8月までは順調だった
が、切迫流産の兆候があったので、産婦人科に入院。しかし、もう早産しても赤ちゃ
んは無事に育つと聞かされていたので、あまり不安ではなかったという。切迫流産
の危機を乗り切り、予定日を数日過ぎて無事に男の子を出産した。お産はとても楽
だったそうです。


考察と感想:
不妊症の治療は得意で、今までいろいろな方の御相談にのっていますが、Dさんの
場合は、東洋医学的に不妊症の原因がいくつも重なっていて、妊娠は極めて困難な
状態だったのです。ご本人は、治療の途中で、もうやめようかもうやめようかと思っ
たが、体調が良くなるのがはっきりわかったし、40歳の誕生月までは希望を捨てず
に頑張るつもりだったとおっしゃっていました。漢方薬は忘れずにきちっと服用してい
ましたし、Dさんの体質に合わせてご指導した東洋医学的な食養生法もこまめに実行
されました。

悪阻に使う漢方薬は日本漢方では小半夏湯がほとんどですが、中国漢方では、悪
阻のタイプや妊婦さんの体の状態に合わせ、様々な漢方薬を使い分けます。

近況:
Dさんは、母乳の出が悪いので、授乳中もビタエックスを服用されていました。ビタエッ
クスをのむと胸の張りが違って母乳が良く出るのでミルクを使うことが少なくなったそう
です。Dさんを川口漢方薬局に紹介してくださった方にお聞きしたところによりますと、
赤ちゃんはだいぶ大きくなってやんちゃな坊やになっているそうです。

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