不妊症の症例 1

2人のお子さんを、いずれも漢方の不妊治療で授かった症例 

Aさん  29歳  身長157cm 体重47Kg平成2年11月6日初めて来局。
結婚して2年近くになるが妊娠しない。

生理の状態 :33日周期でやや経血量が多い。生理痛が激しく、腹痛だけでなく
腰痛も伴う。痛みは生理の始まる前日から生理の3日目まであり1日目と2日目
がひどい。基礎体温は2層になるが高温期が不安定である。

イライラしやすく足腰がすぐにだるくなる。足は冷えやすいが少しのぼせやすい。
食欲、二便正常。 舌の両側部に淤斑がある。

調肝益腎という目的で、逍遥散六味丸を中心にし、補助的にビタエックス(ヒト胎盤
エキス)
を使用し、さらに月経前のみ活血化淤の目的で折衝飲を使いた。

数ヶ月で月経痛は軽減し腰痛も軽くなった。その後翌年の6月に初めて妊娠した。
しかし、胎児が育たないので翌月流産し子宮内を掻爬した。流産の後、貧血めまい
などの症状が出てきて気血両虚の症候があるので、2ヶ月間のみ十全大補湯
使い、月経が以前と変わらなくなった頃から、また前の方剤に少しずつ、ゆっくり
戻していった。平成4年2月に再び妊娠した。今度は流産防止の漢方薬を妊娠中も
のみつづけ、無事に早産することなく出産した。

平成6年に再度来局。出産した男の子も順調に成長しているが、出産して2年近く
経つのに2人目ができないのでまた漢方療法をやりたいという。この時は前回の
漢方薬を基にして同様な周期療法をやり、わずか4ヶ月で2人目を妊娠し無事出産
した。

考察および感想:
若いのに、イライラしやすくのぼせやすい腰がだるいという更年期みたいな症状が
あるのは腎虚だからである。腎虚の人は妊娠しにくいし、流産や早産もしやすい。
中国の書物を読むと、流産しやすい状況は腎気不固が多く、妊娠中に胞宮(子宮)
をしっかり閉じていることが出来ないのだと書いてある物が多い。

1800年前の書物である金匱要略に当帰散(当帰、芍薬、川きゅう、黄岑、朮)が
記載され、手軽なエキス製剤としてこの処方構成に近い当帰芍薬散(当帰、川きゅ
う、芍薬、茯苓、朮、沢瀉)が一般的によく使われるが、私は流産防止の目的でこ
れらの処方を使うことはない。補腎の効能をもった薬味が全く配合されていないか
らである。中国では、杜仲、続断、桑寄生、山薬などの補腎薬が配合された泰山
盤石散
千金保孕丸などがあり、中国から来た中医師によれば、これらの方が
ずっと効果があり安全だという。

日本で手軽に求めることの出来る漢方製剤では、妊婦さんの体質にもよるが、
宝当帰膠
ビタエックス(ヒト胎盤エキス)を同時に使用することを勧める事が多い。
胎盤は紫河車といって、れっきとした漢方薬であり益腎益精の効能と養血補気の
効能を同時に持っている。



近況:
Aさんは、お子さんが風邪をひいたり咳が出たりご本人の腰痛がひどい時、そのた
びに今でも漢方薬を買いにみえる。2人のお子さんもだいぶ大きくなった。


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