不妊症の症例 3

以前に拒食症、無月経症だった方の不妊症の症例

Cさん 27歳  身長163cm 体重52Kg         平成7年3月4日来局

結婚して2年になるが妊娠しない。産婦人科の検査では、子宮が小さく、黄体ホル
モンの分泌が充分でないと言われた。生理は順調に来潮するが、生理時に腹痛が
ひどく、頭痛を伴う。生理の時以外にも、首筋が激しくこる。特に夕方や疲労時に悪
化する。食欲普通、二便正常。舌は赤く苔は少ない。

既往歴
18歳の時、40Kg近くまで体重が減少し病院で拒食症と診断され治療を受けた。

20歳の時に、胃下垂、胃アトニーと診断され、当時食欲があっても食べると苦しくな
るので充分食べられず、食後、みずおちのあたりがつっぱって痛み、下腹が張って
苦しかった。体重もこの時は調子の良いときで47Kgしか無かった。

この時期に、胃腸の症状の改善と、無月経(ホルモン剤を注射しないと月経が来潮
しない)のを治す目的で、初めて川口漢方薬局へ来局した。本人の希望で産婦人科
のホルモン注射を中止し、証や状況に合わせ香砂六君子湯温経湯桂枝茯苓丸
どを臨機応変に組み合わせたり工夫しながら服用を続け、3年6ヶ月かかって体重が
52Kgに回復して自然に規則正しい生理が来潮するようになって廃薬し、その後結
婚した。

Cさんが平成7年に再来局したとき、最初使用した処方は、加味逍遥散知柏地黄
を併用使用し、肩こりと頭痛がひどい時には釣藤散を使った。数ヶ月でひどい頭痛
は起きなくなってきたので、逍遥散杞菊地黄丸にして、排卵期の三日間に開気丸
月経前7日間に血腑逐於丸を加えて併用する周期療法をやってもらった。半年間、ほ
ぼこの周期療法を続け妊娠し、平成9年7月に男の子を出産した。


考察と感想:
10歳代の後半は、卵巣や子宮の機能が完全に大人の状態に成熟するための大切
な時期です。



上図は年齢とともに変化する女性の尿中エストロゲン値をグラフにしたものです。
エストロゲンは15歳から20歳にかけての卵巣機能の向上に合わせ急上昇し、25歳
でピークとなります。ところが、この時期に無理なダイエットや大きな病気になると、卵
巣や子宮が成熟できず、無月経症になったり不妊症になったりします。Cさんは、まさ
に10代の頃の拒食症等によって引き起こされた不妊症でした。ホルモン剤を使用しな
くても証に合った漢方薬を続けることで、正常な生理を起こさせたり妊娠に必要なホル
モンを自分の体が自前で分泌出来るようになるのです。長期のホルモン剤の使用は
外部からホルモンが与えられるので自分自身のホルモン分泌能力が減退してしまった
り、ホルモンバランス自体が狂ってしまうので注意が必要です。

近況:
時々、Cさんのお父様が胃の調子を良くする漢方薬を買いにお見えになります。Cさん
は一人娘なので、いつもCさんのお子さん(お孫さん)の事は目を細めてお話になられ
ます。


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